紅麹問題で話題になった小林製薬。
「紅麹」の成分を含むサプリメントを摂取した人が腎臓の病気などを発症したのですが、ニュース報道でもあるように会社としても大きな損失を受けていますね。
問題は他の商品にも広がりを見せていて、ここ最近では日本歯科医師会が同社製品への推薦を取り消し、糸ようじなどの販売を休止しています。
企業の信頼が問われる問題を起こした小林製薬は経営的には大丈夫なのか? という疑問が生じるかと思います。 今回は、小林製薬とはどんな会社(商品)なのかに触れてみたいと思います。
代表的ヒット商品は、肩こりの『アンメルツ』という塗り薬です。 当時は貼り薬が主流でしたが、ある男性社員が「年寄り臭い」とデートで振られたことが開発のきっかけだったそうです。 その後も『ブルーレット』『熱さまシート』『アイボン』など、商品名を聞くだけで当時のCMを思い出すことができる商品ばかり。
そんな小林製薬は「あったらいいなをカタチにする」というブランドスローガン。
消費者の需要をキャッチすることが、企業に根付いているわけですね。

そんな小林製薬は株式市場での評価は高く、時価総額4,200億円以上と言われています。 2023年の売上高は1,735億円(経常利益は273億円)。 商品開発力とキャッチーな商品で、株式市場でも高い価値を維持してきたわけです。 2020年末の株価は今の倍以上あったので、時価総額にして1兆円超え。凄すぎますね。
小林製薬のビジネスモデルは、まだ誰も見つけていない新市場(「あったらいいな」ですね)を見つけ出し、高シェアを獲得するブルーオーシャン戦略、消費者も気づいていない潜在的なニーズを発見すること。 アイデアをスピード開発し、新市場へ早期参入を狙うこと、そしてCMでもお馴染みの『分かりやすいマーケティング』であると言われています。
よく言われる経営戦略の基本をしっかり押さえているわけです。
小林製薬の売上のうち、75%が国内向け。
その国内事業を牽引するのがインバウンドです。 コロナ禍で一時的に落ちたものの回復。 肥満症に効くという『ナイシトール』、更年期に悩む女性向けの『命の母』などがインバウンドの売れ筋のようです。
海外事業は米国、中国、東南アジアで主に展開。
米国向けの売上は、面白いことに「カイロ」が大部分を占めているそうです。 中国、東南アジア向けは「熱さまシート」。 熱さまシートが好調の背景には、新型コロナ拡大の影響もあるようです。
今回の「紅麹問題」について製品回収関連損失として41億円を計上。 今後も特別損失として追加計上する可能性があるとされています。
会社としては謝罪と補償、品質安全確認と再発防止に向けた努力が最優先となるのですが、紅麹事業からは当然のことながら撤退。
しかしながらこのような状況下で、国内事業は2024年上期に営業利益が増えたようで・・・。
その要因として大きいのは広告費の減少だそうです。 コストを下げた事で利益は損失以上に残しているのです。 年内は売上減少を補うために小売店でのアプリ販促や店頭販促に注力。 依然として好調なのはインバウンド向けだそうです。 上期のインバウンド売上は50億円で、コロナ前と同様の水準。 インバウンド売上から見ても、今回の紅麹問題による影響は軽微のようです。
要するに「紅麹問題」で41億の損失計上してもビクともしないと言うことです。
会社全体の財務状況は健全そのもので、しかも無借金経営。
過去積み上げた「信頼」や「信用」は脆く崩れる・・・と言う言葉はありながらも、現段階では大きな影響がないという事になります。
社会的な責任はともかくとして、普通の企業であれば既に終わっている事だとは思いますが、小林製薬はかなり強い企業であるということが分かります。